ピックアップソーシャルプロジェクト

棚田保全プロジェクト

「ヒト継ぎ」「ヒト起こし」という考え方
現在の棚田保全における全国的な取り組み

 現在全国的に主に行われている棚田と人をつなぐ仕組みとしては、「棚田ボランティア」や「棚田オーナー制度」があります。棚田で田植え・草刈り・稲刈り等の体験活動を行う「棚田ボランティア」、金銭を支払い、棚田を借り、田植え・草刈り・稲刈り等の作業を農民の方に指導してもらいながら行う「棚田オーナー制度」があります。

「ヒト継ぎ」「ヒト起こし」の定義

 棚田LOVER’sは棚田保全のための新しいモデルを提案しています。それが「ヒト継ぎ」と「ヒト起こし」です。

 以下は、永菅さんが提案する「ヒト継ぎ」「ヒト起こし」の定義です。


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 縦軸に棚田への関心度(棚田へ行く回数)、横軸に地域性(地域との密着度合い)を取り、図で示すと上記の図のようになる。

 このモデルでは、棚田ボランティアよりも、棚田オーナー制度のほうが、棚田への関心度や地域性が、ともに高いことを表している。

 「ヒト継ぎ」とは、棚田米試食会などを通じ、棚田の魅力やお米のおいしさを伝え、ボランティアへとつなげていく場である。そして、地域で生活できる人を育てる仕組みが必要である。そのような仕組みを、「ヒト起こし」と定義する。「ヒト起こし」とは、先進的な事例や環境教育、CSA(Community Supported Agriculture、地域が支える農業)で農場(生産者)は人々(消費者)に食べ物を供給
人々は農場を支え、リスクと恵みを分かち合うなどの仕組みを活用し、収入を得て、地域で生活できる人を育てることである。

[棚田と人をつなぐ仕組みの現状と課題―棚田を保全・活用するための「ヒト継ぎ」、「ヒト起こし」の提案― 永菅裕一 (NPO 法人 棚田LOVER’s)著]

「ヒト継ぎ」「ヒト起こし」の実践

棚田米試食会(ヒト継ぎ)
棚田米のおいしさを知ってもらい、棚田に関心を持ってもらうこと目的に、兵庫県立大学や姫路市西二階町商店街で棚田米の試食会を行っています。

棚田米を使ったお酒造り(ヒト継ぎ)
兵庫県立大学、酒造メーカーと連携して棚田米を使った日本酒開発を行っています。この運動により違った視点から棚田に興味を持ってくださったりする方も少なくありません。

野菜の収穫料理教室(ヒト継ぎ)
収穫から体験する料理教室を開催しています。自分で収穫した野菜を使って料理を作り、その場で食べることで新鮮さを感じることができ、子どもたちの食への関心を引き出すことを目的としています。また、棚田で作った小麦を使ったパンも作り、付加価値をつけて販売しています。
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棚田エコ学園(ヒト起こし)
前述した棚田エコ学園でも現在参加者を募集しており、参加した人が担い手となり、技術を身につけていけるように運営しています。
農コース特設サイト:http://ecogakuen.tanadalove.com/


棚田と人をつなぐ仕組みの提案

 永菅さんは、「ヒト継ぎ」「ヒト起こし」を用いて、実際の運営モデルを提案しています。
以下にそのモデルをご紹介します。

 棚田米試食会などを通じてヒト継ぎが、前述したCSA などを通じて、ヒト起こしがうまく行われると、棚田ボランティア・棚田オーナー、環境教育の場、消費者・生産者の増加につながり、棚田の保全と活用を行うことができるのである。

[棚田と人をつなぐ仕組みの現状と課題―棚田を保全・活用するための「ヒト継ぎ」、「ヒト起こし」の提案― 永菅裕一 (NPO 法人 棚田LOVER’s)著]

 棚田に関心がある人と、棚田地域の人の間に棚田保存団体が入り、それらを支援している。それぞれのグループにはリーダーが存在している事が重要である。棚田保存団体は、作業の日程調整や棚田米の注文管理、生産物の発注を行い、そして、棚田に関心がある人に生産物の配達や料金の徴収を行う。
そうすることで、棚田地域の人の負担を軽減している。さらに、活動拠点の整備や棚田米のブランド化等を行い、棚田の保全と活用を目指すのである。棚田に関心がある人は棚田ボランティアやオーナー制度に取り組み、棚田地域の人の支援を行う。その際に宿泊施設が存在している事も重要である。前述の仕組みをうまく活用する事で、棚田の課題に対応し、棚田の保全と活用を行うことができると考える。

[棚田と人をつなぐ仕組みの現状と課題―棚田を保全・活用するための「ヒト継ぎ」、「ヒト起こし」の提案― 永菅裕一 (NPO 法人 棚田LOVER’s)著]