ピックアップソーシャルプロジェクト

特定非営利活動法人しゃらく

付添介護付き旅行事業
いまがあるのはスタッフの「努力」

 しゃらくの立ち上げには4人のスタッフが関わりました。設立から2年間は苦しい時期でした。依頼もなく、収入もありませんでした。昼はしゃらく、夜はアルバイトという生活でしたが、寝る間も惜しんで働きました。その間は『ひとり一芸プロジェクト』と称してスキルアップに取り組みました。ITやDTP、営業などひとりひとりがその道を極める努力を欠かしませんでした。この時のスタッフの努力は今でも役に立っています。

旅行前の不安要素を事前になくす
不安に思うことを旅行前に確認し、その対応策を提示すること。

しゃらく旅倶楽部ニュースレター
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 設立当初、須磨区に住む要介護区分3~5の方たち約150名にアンケート調査を実施したそうです。63%の人が「旅行に行きたい」と回答するものの、そのほとんどが「こんな身体で旅行に行きたいなんて高望みなこと言えない」と考えていたことも分りました。「うまく身体が動かせなかったり、車イスの状態やでどこまで移動ができるのかという不安」に加え、「具合が悪くなったときにどうすればいいのかなど、介護が必要な方が知りたい旅先での情報がない」ことも行動に移せない大きな理由だったそうです。
 しかし、ニーズがあることはわかっていても、なかなか売上はついてきませんでした。そんな中で、どうにかして旅ができると思わせられないかと考えたすえに、実際の事例を見てもらうことが大事だと「しゃらく旅倶楽部ニュースレター 旅をあきらめない」の発行を始めます。紙面には様々なケースの旅行記をのせ、旅行程や対応策などを詳しく紹介しました。合計5000部を発行後、これを見た介護職の方や、利用者の方などからの問い合わせが増えました。同じような症状の方でもこんなところまで旅行できるんだよと、背中を押すことができたのでしょう。

しゃらく旅倶楽部
しゃらく旅倶楽部の利用目的はさまざまです。

 家族みんなでの温泉旅行や、お孫さんの結婚式の出席、故郷へ帰り同窓会に出席したいなどそれぞれの方が想いを持ってしゃらく旅倶楽部を利用しています。
 電車や飛行機での移動時間のサポートや、宿泊場所のバリアフリー状況の確認、食事制限の対応などあらゆく局面で起こりうることを想定し、お客様に合わせたオーダーメイドの旅行プランの作成を受注しています。また、旅行にはヘルパーや看護師が行動をともにし、家を出るときから家に帰るまでをエスコートします。
 エスコートヘルパーの利用料金は介護状態によって異なりますが、1時間につき1,800円~3,000円。それに旅費やその他の経費を含めた料金となります。平成 26 年度の利用者数は572人となり、現在では累計2500人以上の方をエスコートしました。

この指とまれツアー
旅行で楽しむことによって心の豊かさを取り戻す。

 2013年にも要介護1~2の方約700名にアンケート調査を行いました。その調査から、30%の方が「うつ病である」もしくは「うつ思考である」という結果が出ました。その原因には「外出ができない」ということが大きく関連しています。刺激がない生活に「うつ病」が引き起こされていると考えられました。
 通所リハビリや訪問リハビリでは、身体機能の回復に重点が置かれ、心の改善につながる「楽しい」とう感覚は後回しにされることがあります。そうした人たちは、ひきこもりから独居、そして孤独死という最悪の状況にいたってしまう恐れがあります。
 こうして誕生したのが「この指とまれツアー」です。4,980円という破格な価格でのお手軽日帰りパック旅行で、タクシー代金、介助・付き添い代金が含まれます。神戸市内にお住まいの65歳以上で、自立歩行ができる方であればだれでも参加が可能です。毎月2~3回のツアーを行っています。2014年のスタートから二年間で約130名の会員が参加しています。
 このツアーを通してコミュニティを形成し、そこから知り合いになって連絡を取り合うことによって日常が楽しくなる。そういった流れができつつありますと小倉さんは語ります。