ピックアップソーシャルプロジェクト

NPO法人 Homedoor(ホームドア)

設立の経緯
年々増加する「ホームレス状態」にある人々

 平成26年1月に国が実施したホームレスの実態に関する全国調査によると(注1)、全国のホームレス数は7,508人と、平成22年の調査時13,124人から較べると約半数に減少しています。しかし、この調査では「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所として日常生活を営んでいる者」が対象となっています。統計にはインターネットカフェやファストフード店で夜を明かす住居喪失不安定就労者(ネットカフェ難民)の数は含まれていません。
 8年前の平成19年に発表された厚生労働省の調査によると(注2)、ネットカフェ難民は全国で約5,400人存在すると推計されています。ネットカフェの売上高の増加などから、ネットカフェ難民の数は増加傾向にあるといわれています。つまり、ホームレス数だけを見ると減少していますが、社会全体において「ホームレス状態」にあるひとは年々増加していると考えられています。
こうしたホームレス状態の方々の支援活動を行っているのが特定非営利活動法人Homedoor(ホームドア)です。

※注1「ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果について」『厚生労働省ホームページ』,http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000044589.html[2015年9月7日閲覧]
※注2「日雇い派遣労働者の実態に関する調査及び住居喪失不安定就労者の実態に関する調査の概要」『厚生労働省ホームページ』,http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/08/h0828-1.html[2015年9月7日閲覧]
ホームレス問題への挑戦
根底にある問題を解決するために社会の構造を変えたい

理事長 川口加奈さん

 理事長を務める川口加奈さんが初めてホームレス問題に触れたのは若干14歳の中学2年のとき、ホームレス襲撃のニュースを見たときです。そのときはじめて、なぜ日本という豊かな国でホームレスはなくならないんだろうと疑問を持ったことが活動を始めたきっかけです。

 「ホームレスになるのは自業自得じゃないのか?」という考えもあったそうです。しかし、炊き出しやボランティア活動に参加しながら問題の根底を見つめると、その考え方は偏見であることに気づきました。
 ホームレス状態に陥ってしまう原因の多くは収入の減少や身体的な不調です。仕事がなくなった、家賃が払えなくなった、病気やけがをしてしまった、自分ひとりの力では解決できなくなったことが原因で心が折れてしまうこともあります。また、ホームレスになってしまったひとは、その状況からなかなか抜け出せないという悪循環に陥ることがほとんどです。炊き出しや夜回りといった対症療法的な活動をするだけでは、ホームレス問題の根本的な解決にならないと感じていました。
 そして、2010年4月、「ホームレス状態を生み出さない日本の社会構造を作る」というビジョンを掲げ、Homedoorを設立します。

ホームレスを無くしたい
すべてのホームレスに支援を行き届かせるために

 Homedoorはホームレス状態をなくすために3つの支援を行っています。
一つめは、ホームレス状態からの「出口」を整備することです。Homedoorは就労支援や日常生活のサポートを行い、当事者それぞれのライフスタイルに合う改善策を提示することで、その状況からの打開を目指します。
 二つめは、ホームレス化の予防を行います。ホームレス状態になる前の「入口」の整備として、障害があるのに福祉を受けられない、頼れる家族や知人がいない人などに寄り添い、その支援方法を模索し、ホームレス状態になる前に未然に防ぎます。
 三つ目はホームレス問題の啓発活動を行う事です。間違った知識や偏見により、若者たちによるホームレスの襲撃事件を起こさないように、社会にホームレスの現状を広げる講演活動を行います。