ピックアップソーシャルプロジェクト

オルタナティブビレッジプロジェクト

3.ムラノマの活動

 オルタナティブビレッジは現在空き家を活用したコミュニティ拠点をメインに事業を展開しています。今年(2015年)で2年目となる「ムラノマ」プロジェクトや里山を舞台にした「サトノワ」など、フィールドを広げながら新しいスタートに向けて動き出しています。「ムラノマ」プロジェクトで培ってきたノウハウを用いてより多くのコミュニティを作るべく活動の幅を広げています。

ムラノマスタートまでの道のり
初めての農業

 NPO法人食と農の研究所(兵庫県神戸市)でも活動をしていた山口さんは、その当時(2012年ごろ)県内の有機農家さんたちのつながりの強化をはかる仕事をしていました。そういった中で、多くの農業関係者の方とお話しする機会が増えていきました。また一方で、現在の社会問題となっている耕作放棄地の増加や就農者の高齢化などに危機感を抱くようになったといいます。

 自分でも農業をやってみたいと思うのに時間はかかりませんでした。近くでとりあえず田んぼを借り、初めて田植えや稲刈りに挑戦しました。神戸生まれ神戸育ちの都会人で、全く田んぼのやり方を知らない中での手探り状態でした。始めのうちは、草は生え、稲も育たず、収穫もほんのわずかでした。

自然栽培との出会い
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 2013年の夏、兵庫から遠く離れた新潟の地で農業に関する勉強会に参加した時のことです。そこでたまたま同室になった方が、現在ムラノマで講師を担当している畑さん(ひのた農場 代表)です。畑さんは兵庫県三木市で、自然栽培の稲作を行っています。山口さんにとって畑さんとの出会いが大きな転機となりました。勉強会から数日後、畑さんから突然連絡があり、「農業やらへん?」と誘われました。自然栽培への興味から山口さんは「やります」と二つ返事で引き受けました。

 現在全国的に自然栽培という考え方が広まりつつあります。農薬を使わないのは大前提として、さらに有機肥料も使わず、水やお日様の光といった自然のちからだけで育てる農法が自然栽培です。稲作は水をはることにより連作障害を防ぐことができ、稲自体の生命力も強いことから、自然栽培で作りやすい面もあります。また自然と向き合いながら、農と関わることで、充実感ややりがいを感じることもできます。


ムラノマの活動
ムラノマのスタート
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 三木市で研修を始めた山口さんは、畑さんに休憩場所として空き家を紹介してもらいました。そこからこの空き家を活用して何かできないか?と考え、コミュニティ創りへとつながっていきます。それがムラノマのスタートとなりました。

 ムラノマのプログラムは1年間を通して行われます。講師は代表の山口さんと、前述した畑さんが勤め、それぞれが農業や自然栽培、教育やコミュニティづくりの講義を行います。講義以外でも実習活動として、田植えや稲刈り、こうじ作りから味噌作り体験などのアクティビティを開催。頻度としては月に3回前後で、年間約30回の活動となります。

 また、ムラノマ第一期では空き家の改築作業が主なイベントとなりました。壁をはがしたり、漆喰を塗ったり、自分たちで拠点を作り上げていくという感覚を共有できたことから絆が深まったといいます。メンバーはみんな家族のように仲が良く、とても居心地のいいコミュニティをつくることができました。


活動拠点の改築作業
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講義の様子
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自然栽培で行う農体験
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こうじ作り体験
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費用集めの工夫

 改修費を集めるために、助成金の活用や「お米ローン」というシステムを作りました。ムラノマのビジョンを説明し、ご賛同いただける方に協賛してもらい、毎年収穫したお米を渡すという仕組みです。ただ資金を貸してもらうだけではなく、団体活動の一環として取り組めるこのシステムはメンバーの意識向上にも役に立っています。

イベント開催について

 農業体験や自然観察などのイベントはどこでも開催されています。しかし、それが一過性で終わってしまっていて、なかなか次のステップにつながらないという課題があります。体験として参加するという意識だけなので、参加者の実際の生活にはなかなか根付きません。継続して続けていくということが難しく、イベントを開催するだけでは主催者としては虚しさを感じてしまうこともありました。そこで、コミュニティを創ることにより、みんなで農作業や手仕事などをすることで、その日々の営みが自然なイベントになっていくことも可能となります。

受講者の確保について

 ムラノマ第一期のメンバーは約10名です。受講料は年間10万円と決して安くはありませんが、一期目としては十分な人数が集まりました。1年目ということで大々的な告知はできず、集客は「NPO法人食と農の研究所」の会員へのお知らせや、山口さんの個人的な知り合いの声掛けだけでした。そうして集まったメンバーはやはり、環境や教育に意識の高い方が多く、一期目の運営についてはかなり楽な部分があったといいます。

 今期の二期目は少し集客に苦労し、新規での受講者は5名となりました。再度受講した一期目の受講者5名と合わせて、合計10名で活動しています。