ピックアップソーシャルプロジェクト

オルタナティブビレッジプロジェクト

2.設立の経緯
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 当法人代表である山口寛人さんは法人設立以前、兵庫県神戸市でオーガニックショップやマルシェ、農業体験などを運営していました。そこに来られる方は環境問題や教育への意識も高く、そこで「オルタナティブスクールを作りたい」という方たちと知り合ったことが現在の活動につながります。

 将来的には教育活動を精力的に行いたいと考えていた山口さんは、2010年オルタナティブビレッジの前身となる「NPO法人デモクラティックスタイル和」を発足しました。農業体験などのイベントを開催することで新たな出会いを生み、2012年に「神戸オルタナティブスクールを創る会」が発足、2013年10月に法人名を「オルタナティブビレッジ」に変更しました。

オルタナティブ教育に込める想い
現在の日本の学校教育

 数年前、心理カウンセラーとして働いていた山口さんは、既存の学校教育に疑問を感じていました。日本の学校教育は画一的で、こどもたちを大人の価値観で同じ枠に当てはめてしまい、こどもが自分自身で考える力、創造性や柔軟性などが育ちにくいという一面もあります。そんな現状に疑問を持った保護者の世代が、オルタナティブ(代替え)な教育の形を作り始めるムーブメントが欧米を中心に起こり始めています。

 ヨーロッパでは、私立のスクールに対しても国の財政支援が及び、金銭面での負担が軽くなるシステムになっています。選択肢として多くの学校があることから自分にとって1つ合わなくても、「じゃあ違う学校に」という発想があるので、引きこもりができにくくなっています。
一方で、日本では公立学校に行けなくなってしまうと、不適合者のような扱いを受け、逃げ場がなくなってしまう状況がまだまだ少なくありません。

子どもたちの話を聞いて現状を知りました

 山口さんの当時の仕事は、引きこもりの子どもたちの家に行って相談に乗り、家から出るきっかけを作ることでした。山口さんが引きこもりの子どもたちと接して思ったことは、「みんなとても良い感性をしている」ということです。感性が良すぎるがゆえに今の世の中に疑問を持ったり、世の中が嫌になったりして引きこもってしまうケースが多く見受けられました。

 個性や人格を尊重してあげられるような良い環境があれば、そういった子どもたちも自分の意見を物怖じすることなく言えるようになります。要は、こどもたちに責任はなく、今の社会環境を作ってしまった大人に責任があるということを痛感してしまい、何か自分たちにできることはないかと思ったのがきっかけでもありました。

ほかの選択肢を提案すること
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 オルタナティブビレッジの目的の1つは、「多様な環境、多様な選択肢」を提案していくことです。良い学校を仮に作ったとしても家庭環境が悪ければ子供たちは病んでしまうし、社会に希望がなければ子供たちは夢を見いだせません。そういった背景から、枝葉ではなく暮らしの根本となる「コミュニティ」単位から子どもたちを取り巻く環境を創っていかなければ、今のこの状況を変えるのは難しいと感じました。そうして、オルタナティブビレッジとしての活動がスタートしました。

融合型のオルタナティブスクール

 都会で生活する子育て世代の間では、自分の子供を自然に触れさせながら育てたいというお母さんが確実に増えてきています。しかし、実際に一般的な学校に通わず、オルタナティブスクールに入れるとなると躊躇してしまう方がほとんどです。そこで、オルタナティブビレッジでは始めの段階として、融合型のオルタナティブ教育を提案していければと思っています。

 現状ではオルタナティブ教育という考え方はまだまだ浸透していません。そういった方に知ってもらうきっかけとして、自然体験や農体験から関わってもらうことで徐々にこういった教育の存在も認知してもらえるような流れを意識しています。逆に、オルタナティブ教育に興味を持って入ってきた方にも、農業や自然体験などに関わることで環境保全や食や農のことについて考えるきっかけにもなっています。オルタナティブビレッジでは、多様な人に参加してもらうため様々な入り口、意識に応じたステップを今後もつくっていければと思っています。